4MINI CHAMP vol.22

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4MINI CHAMP vol.22 ギャラリー

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メンテより奏効にコストが回せるGROM

GROMのエンジンはタフのようだ。少なくともエンジン無改造クラスで戦うなら。NRマジックの代表を務める中里氏は、GROMをこう語る。「新車からどれほど練習を重ねても、あまりパワーダウンを感じませんでした。4時間耐久の後で初めて分解して、ピストンとリングを交換したらパワーが上がった(=戻った)けど、すぐに逆戻り。良くなるのはほんの一瞬で、逆にリボっていてもさほど悪くならない。パワーの変化が小さいんです。速くなるには、頻繁に整備するよりも、そのお金でサーキットに通う方が効果的でしょうね」
ただしオイル交換は効く様子。「少し遅くなっても、新品オイルを入れると元に戻る」とのことで、レース前は必ず新品オイルに交換しているそうだ。

3000km程度なら余裕あり

上記の写真は鈴鹿Mini-Moto4耐STクラス決勝の後で取り外したピストン。この時新車から走行距離は「確認してなかったけど3000kmくらい?」とのこと。さすがにわずかなパワーダウンを感じての分解だったそうだが、見ての通り大きな傷も焼き付きもないのが少し意外だったそうだ。
当時このピストンと新品を比べて中里氏は、「少しエッジを落としてから組みたい」と考えたそうだ。このGROMはSI(=完全なノーマルチェンジ)クラス用で、わずかな面取りも立派な加工、すなわちレギュレーション違反なので結局完全無加工で組んでいるが、もしもレースに使わないのであれば、新品組み込み時には、スカート下端を軽く面取りしておくとなお良くなりそうだ。

サーキットを楽しむ最適のツール

まず燃焼室に付着したカーボンを削ぎ落とすのだが、GROMの燃焼室表面には一部鋳型のブツブツが残っている。カーボンといっしょにこれまで削ってしまうと、レースでは「加工」と見なされ失格になりかねない。中里氏も「ワイヤーブラシが使えず、洗浄剤などで丹念に落とすしかないから面倒」だとか。
ちなみにこのNRマジック号では、シリンダーヘッドを開けたのはこの取材を合わせて新車から約6000kmまでわずか2回、クランクケースは新車購入時から一度も分解してない。これで「まるち杯」で中里氏は2勝、同仕様の松永氏が1勝と、NRマジックとしては現在3戦全勝。マシン差が出にくく、メンテよりも走るほどに(ライダーが)速くなるGROMは、昔走っていたがブランクがあって躊躇している方や、「初めてだけどサーキットを走ってみたい」というビギナーに注目の逸材と言えそうだ。レースが増えればもっと面白くなっていくだろう。